2019年6月10日月曜日

ICの取り外し方の研究(その二)



低温ハンダで、IC(DIP)を取り外すときに問題なのが、溶かしたときに、水のように、あるいは、水銀のように、さらさらと流れ落ちることです。
前回は、アルミ箔で低温ハンダを受け止める方法を試しましたが、今回は、部品面で、低温ハンダをハンダ付けし、半田面でアルミテープを使って受け止める方法を試します。
部品面から、低温ハンダをはんだ付けするときは、シリコンシートを下に敷いて、密着させるようにすれば、ある程度目的が達成されますが、あえて、より安全の高い方法を試行します。
マゼンタの四角のICを取り外します。

全部のスルーホールを開通させます。
20x30mmほどにアルミテープをカットします。
角を指で弾いていると、離型紙が簡単に剥がれます。
出っ張っているICのリードを囲うように、アルミテープを貼り付けます。
これで、低温ハンダが下に滴り落ちることはありません。
部品面から、たっぷりの低温ハンダを、ハンダ付けします。
低温ハンダを、ハンダこてで満遍なく温めます。
しばらくして、ICをこじれば、簡単にICが外れます。

外した後の低温ハンダは、ハンダフィルターBできれいに吸い取ります。
低温ハンダの特性は、電子回路のハンダ付けには向きません。

また、前回の試行で、アルミ箔を使うのをアルミテープにしても良いでしょう。
しかし、低温ハンダをこぼさないように水平にしながら、裏にあるICをピンセットでこじらなければならず、少し難しい作業になります。


2019年6月9日日曜日

低温度ハンダの作り方

低温ハンダは、鉛フリーはんだではない、鉛50%,錫50%の組成に近い普通のハンダに、ビスマスを加えることで作ることができます。
ビスマスは無毒の金属で、ここで作る低温ハンダも鉛の毒性のみが取扱い上の注意となります。
この鉛50%,錫50%の組成に近い普通のハンダと、ビスマスを半々に混ぜて低温ハンダを作ります。
この低音ハンダの融点は、96度以上の水の沸騰するくらいの温度になります。
写真1
ビスマス・インゴットをニッパで齧って、欠片をハンダと同じくらいの量作ります。
写真2
ハンダこてで溶かして、よく混ぜ合わせます。
ここで、酸化皮膜,ゴミなどは片方に寄せて、ピンセットで排除します。
均一に混ぜ合わさることができたら、水銀のようなものになり、なかなか固体にはなりません。
写真3
棒状に成形した上、ドライヤーなどで風を送って冷やします。

ICの取り外し方の研究

低温ハンダを使って、IC(DIP)を取り外す研究です。
安全で確実な方法を探求します。
 マゼンタの四角のICを外します。

 全部のスルーホールを開通させます。
 60x35mmのアルミ箔を用意します。
 2つに折って、ICを覆うように被せます。
 IC保持治具で、アルミ箔ごとしっかりと挟みます。
 低温ハンダでハンダ付けします。
部品面のIC保持治具でICを引っ張りながら、低温ハンダを、ハンダこてで満遍なく温めます。
ICが浮いてきたら、低温ハンダをこぼさないように注意しながら、ICを外します。
 アルミ箔で、低温ハンダのダムとなって、低温ハンダが滴り落ちるのを止めます。
次の3つの効果があります。

  1. 低温ハンダが滞留するので使用量が軽減できる。
  2. 固着しているハンダと低温ハンダが混ざるのを促進する。
  3. 低温ハンダが垂れるのを防止し、安全に作業ができる。



低温ハンダでIC(DIP)が外れる



まず、ICにつながっている全てのスルーホールを開通させます。
次に、たっぷりの低温ハンダで、ハンダ付けします。

盛った低温ハンダを、ハンダこてで温めながらICをこじると簡単に外れます。

ICが外れる理由は、低温ハンダが開通しているスルーホールに流入して、リードとスルーホールに接触して、くっついているわずかのハンダに低温ハンダが混ざり、この部分の融点が低くなり、液体になりやすくなるので外れます。
したがって、低温ハンダではんだ付けする前に、ICにつながっている全てのスルーホールを開通させることが必要ですし、これがコツとなります。
ここで言う開通とは、スルーホールにICのリードが入ったまま、ハンダで塞がっておらず、空気の流入が可能の隙間があることを言います。

低温ハンダによるIC取り外し