はじめに

足踏み式のハンダ吸い取り器です。
 ハンダごてでハンダを溶かし、ハンダ吸い取り器のノズルをあててペダルを押し下げます。

吸引力も十分で、スルーホールの穴は簡単に開通します。
連続でハンダを吸い取ることができるので効率的です。



メリット&デメリット

メリットとして使っているハンダごてで、そのまま、部品を外すことができます。
新たにハンダごてを温めるなどの準備時間も要りません。
メンテナンスも詰まるような場所もなく、スッポンと同じくらい手軽です。
デメリットとして、吸い取るときに熱源が離れるため、ICなどの多ピンの部品の取り外しが苦手です。
その対策を後述します。


スッポンと比較

スッポンと吸い比べました。
一番手前の列で、左から、[タクトスイッチのリード挿入],[空],[空],[タクトスイッチのリード挿入]の4つのスルーホールで比較テストします。
それぞれ、5秒程度ハンダこてをあて、一度きりの吸い取りです。

【スッポンあて方】

【スッポン吸い取り前】

【スッポン吸い取り後】

【本機あて方】

【本機吸い取り前】

【本機吸い取り後】

※2つ目のスルーホールの上の白っぽいモヤは、ペーストに照明があたったものです。

本機のほうが吸い取り性能は良いようですが、スッポンの2つ目のものは、つららですので、同等の性能ということで・・・
残っているハンダも、何回か吸い取り操作すればきれいになります。
もちろん、操作もスッポンに比べ楽です。


足を折り曲げたプリント基板

ハンダを盛ってある場所にハンダごてをあてて、足踏み式ハンダ吸い取り器で連続してハンダを吸い取ります。
ハンダが除去され、折っている状態が良くわかります。
足を真っ直ぐにして部品を外します。
連続して吸い込むことができ、これは、スッポンにはできにくい操作です。


ICの取り外し方

例として、7409を外すためにニッパでリードを切ります。

ピンセットで、ハンダごてをあてて、切ったリードを取り除きます。
あとは、足踏み式ハンダ吸い取り器でスルーホールを開通します。
基板が大事でないのなら、最初からICのハンダを吸い取り、ICをこじれば外すことができますが、スルーホールと接触している足のハンダがくっついていてスルーホールの銅箔が破れることがあります。
多層基板だと致命的な損傷となるので、修理目的ではICのリードを切る方法が最適です。
また、ICをこじる方法では、ノズルの形状が完全に基板と密着していないと、最大限の吸引力が発生できずハンダの吸い残しが出る、などのシビアな条件があります。
また、この基板もそうですが、古い基板ではフラックスなどが固まってハンダが巧く取れないピンがでてきます。
ICを取り外す場合、足のハンダを吸い取って、ハンダのとりきれないピンに四苦八苦するよりも、最初からICのリードを切る方法のほうが、ストレスもなく、結果的に作業時間も短くなります。


太いリード

太いリードのハンダ除去は得意です。
ご覧の通り吸引力は結構あります。


吸引力について

吸引力は充分あると思います。
それは、スルーホールの表に一部分残ったハンダ、つまり、裏面からは、凹んでハンダが奥に残っているように見えるスルーホールのハンダも除去できるからです。
もちろん、裏側からハンダを溶かすには十分にハンダごてをあてなければいけないのと、ノズルが穴を覆うように整えすばやく作業を行う必要があります。
成功するとプチッという音とともに開通します。
プチッと言う音は、スルーホールに空気が入り込む音で、快感です。
このスルーホールの開通により、吸引力があるものと考えます。
構造的に、ダイアフラムに近い構造ですので、踏み込む量によって瞬間的な吸引力を発生させることができ、低吸引力の電動式のポンプとは一線を画します。
にもかかわらず、ICの取り外しが苦手なのは、吸引時に熱源があたっていないことと、ワット数が少ないのが原因です。

この様に熱源が無く吸引するため、吸い込まれる空気によって直ぐに冷やされ、リードとスルーホールの接触している部分のハンダが固まり、つららができます。
スッポンと同じです。
さらに、ICの場合は、表の基板に当たる幅広いリードの部分と、ランドに接触している部分が、ハンダ付けされているのを取るのが難しいのです。
吸引力のこと、本稿の説明により納得していただければ幸いです。
修理でICを交換することは稀ですし、交換するにしても本稿の『ICの取り外し方』によりストレス無く交換できますし、開発目的では、ICの交換用にICソケットを取り付けるのが普通だと思います。
何にも増して、すぐその場で部品を取り外し、スルーホールを開通させることのできる手軽さが良いと思いますし、末永くご愛顧いただけるものと思います。

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